昭和38年豊かな北陸の農家に生まれた僕は、生まれながらに全盲だった。
祖父が親族に話した。
「皆には健康な体をあげることができた。この子にもできることをしてやりたい。」
何人かは反対したが、父と祖父は山と畑を一部売却し、東京の病院へ通った。
有名な大学病院でも断られるほど何もできないで困っていたときに
母はどこかのお地蔵さんにお祈りをした。
お地蔵さんが「北にいい医者がいる」と告げた。
実家に帰りそのことを知人らに話したところ、地元のある病院の眼科医の知人がアメリカ帰りで
手術が受けられるかもしれないとの情報が入った。
5歳で7回手術を受け、眼振はなくならなかったけど右目だけ少し見えるようになった。
両親の力強いサポートで小学校から中一まで普通の学校に通った。
中二になるとき見えない範囲が拡大し、自分で決めて盲学校へ編入した。
自分はほかの人と変わらない
同じ人間なんだ
出自や外見なんて関係ない
どれだけ頑張って一人でやっていけるか、やってみないとわからない
「僕」は人知れず名医で毎日忙しく鍼灸師として働いている。
いつも下ネタトークで爆笑なのだが
今日は「出自」という差別について思うところがあり先生にあれこれお話していた。
先生が今まで聞いたことがないご自身のストーリを話してくださった。
聞いているだけだったけど
初めて先生のご苦労を感じられた気がした。
自分の気持もわからないのに
相手の気持なんてわからないなあ