雨だ 雨だ 雨だよ
あの萌えるような緑の丘
尾根に霧のベールが揺らいでいるよ
来るよ 来るよ 風が運ぶよ
このうねりは海の向こうから来るやつだ
白い 白い 白のなか
たたきつけるしぶきが跳ねる
何も聞こえない
まるで雨に忘れられた自転車
水の中で響く音
肌にまとわりつく微細な雨粒
みじんも土を含まない風
ああ、水の国に生まれ守られることの歓喜
息ができる水の中
緑の手足を思う存分伸ばそう
明日の渇きを思い煩うな
はばかることなく生を叫べ
寿ぎの光は常に裡にある
いかようにも生きよ
いつ終わったってかまわないように