together with global breathing

こころが動いたことを綴ります。永遠に地球が平和でありますように。

剣山③

お山歩きで嬉しいのは尾根に出たとき。

少しの平地にホッとして頂をまたぐ風に帽子をとられ。

瀬戸内海を超え大山まで心で遠望す。

 

西日本の尾根でとりわけ美しいとされる、剣山から次郎ぎゅうを眺め。

山道はしっかりできているので安心して参道をゆく。

大剣神社方面へ。

ご神体はそそり立った巨石。

紫外線や風に侵食されたとはいえ奇妙なかたち。

鏡石、という人工的に張り付けたようなものはない。

 

柱のような岩の麓からコンコンと湧き出ている泉。

冷たくてまろやかで

空すら写していない純粋さ。

身体を維持し、生きていくために欠かせない水。

薬を飲んで治そうとするときに触媒になるもの、水。

それがまっさらであるほど

体そのものの力を潤し引き出してくれるのは体感で知っている。

真水さえあればどんな見放された病も癒されるのではないだろうか。

きっと届く。

あの人にも。

ぐびぐびと喉を潤し

さあさ、頂上を目指すのみ。

立派な岩々があちこちに。

尾根には獣道も多数ある。

しかし四国にはたった20頭しか熊はいない。

出会いは奇跡。

誰も鈴を鳴らさない。

晴れたり曇ったり。

風は穏やかに湿気を流していく。

直射日光を和らげてくれる林道がないけれど歩きやすい日差しだった。

久しぶりに会う友と話しながらでも息が上がらない。

 

近況報告をたっぷり。

ご家族のお話しも聴く。

テキトーに生きている自慢をお互いしながら

今はどういう状況なのかということ

掴んでいること

そういうものも正直に話ができるし聴ける。

 

テキトーだとあんまり不安はないのかもしれない。

だから悲観的にもなってない。

将来の見通しも互いに違っていて、それがいい居心地。

 

こういう分かち合いができることからも

心に希望が持てると確認するのだった。

 

 

1955mの三角点は触れられないようになっていた。

頂上は木道で整備され、最新式のにおわないエコトイレも。

 

神輿を担ぐ神事が毎年7月に行われ

頂上ヒュッテは予約受付開始と同時に満席になるほど。

 

失われたアークだとか、ソロモンの秘宝だとか

様々な憶測と夢が舞う剣山。

平家の落ち武者らが安徳天皇を匿った説からの

小さな都を作り隠れ住んでいたという定説すら霞む。

 

ごちゃごちゃ考え込まない。

次郎ぎゅうの方へ足を向ける。

菜の花や鮮やかな緑に囲まれた湧き水。

甘い。味がしないのに。