頂上ヒュッテに泊ることもお楽しみの一つだった。
リフトで日帰りするお客さんが帰って
静かな時間に夕ご飯と夕焼けが訪れ始める。
木道の東西には広めのデッキが設えてあり
ゴロゴロしながら刻々と暮れていく空を眺めていられる。
今夜のお泊まりは3パーティ9名。
初老のご夫妻、私たち、ぴちぴち女子5名。
友が「一番風呂に入りたい」というので
(男女時間制なので争奪となる予想)
ご飯前に行くことにした。
山で風呂に入れるというのは稀有。
立山室堂のように温泉が湧いているところは別として
水は貴重でかなり節制しているのが普通。
嬉しいわ、と入ったら家庭用の浴槽に8割がたお湯がたまっていて
・浴槽には入らない
・湯船の湯を一人5杯まで
・足りなくなったら次の人のことを考えてためる
・石鹸シャンプーの使用禁止
などなど、予想通り掟は厳しいのであった。
温かい季節、早い時間で良かったねといって
一杯のお湯をめちゃめちゃ大事に使って汗をぬぐった。
「誰か入ったよ。(陰)毛が浮かんでいる」
友の鋭い指摘に、
そうかもね~、などとテキトーに返事をした。
わはは。でもさっぱり。
働いている方は若い女性が多く
丁寧で温かい接客が気持ち良かった。
昭和30年から続く山小屋。
リフトがあるため電気が通っていてWi-Fiも自由。
湧き水があるためか、水は高価ではなかった。
カフェメニューやお酒も充実。
夕ご飯は季節のお野菜や川魚、とあり
肉を食べない身としてはありがたかった。
小屋のご主人、お米とおかずのいくつかは自分つくっていると。
お漬物とご飯が美味しいのに納得。
夕ご飯で飲んで食べて笑顔いっぱいになった後
9人全員で西のデッキに集合し太陽を見送った。
ぽったりと落ちる線香花火のように
雲が出始めたゆえの諦めを裏切り
決して戻ることはないオレンジの太陽が沈んでいった。
全ての人に分け隔てなく与えられている夕焼けと朝焼け。
お日様が世界に彩を放ってくれるギフト。
毎日毎日必ずある。
もっともっとその時間を空と一緒に居たい。
夜の星空も綺麗だと聞いていたが
風に流れる雲間から少し瞬きを見つけられるかどうかであった。
頂上はさすがに寒く
上下ダウンを着こんでみたものの長くはいられず。
消灯21時ころにはお布団に潜り込んでいた。