家を出たのは3時45分過ぎごろ。
アパートの一階にかけられた燕の巣には
燕尾服の持ち主が来ていた。
うふふ、と卵が孵っていく未来をイメージして出かけた。
3時間後に戻ってきたら
糞を受け止める床に敷かれた新聞紙ごと
きれいに巣が無くなっていた。
二度見、三度見、しても信じられない。
この数週間、せっせと泥にした土と藁を運び
二羽で巣作りに励んでいた
そんな時間ごと失ってしまったような驚き。
ショックで信じられず、呆然と言葉を失った。
もしかして…燕の幻視…もしくは想像…
それくらい何事もなかったように復元されていた。
だってわずか3時間。
ご近所のタレコミ?防災の視点?
深まる謎。
鳥獣保護管理法で卵や雛のある巣を撤去することはできない。
もし規約を破ると罰金100万円とかそれ相応の罰則がある。
それを許可できるのは都道府県知事のみと。
烏も蛇もアパート周辺でそんなには見かけない。
安全だと思って作っていたのだろうに
勿体ないし、可愛そうでならなかった。
理由はわからないけど
子供たちが居なかった、、と思うことにした。
私の心の眼では
うっすらと雛のほやほやした頭髪が見えていた。
残念で残念でならない。
業者さんの金運が落ちないことを祈る。